労働審判手続の流れと会社側の対応について弁護士が解説
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労働審判手続の流れと会社側の対応について弁護士が解説
- 「労働審判への呼出状が届いたが、どう対応すればよいか分からない」
- 「合意のうえ退職したはずの元従業員が不当解雇を主張し、労働審判を申し立ててきた」
- 「元従業員から過去の残業代を請求する労働審判を申し立てられた」
こういったお悩みをお持ちの企業・法人様はいらっしゃいませんか?
労働審判は、解雇を巡るトラブルや未払賃金を巡るトラブル等の労使間の紛争解決のためにとられる制度です。そして、その最大の特徴は、申立てから終了までの期間が短く、迅速に問題解決を図ることができる点にあるといえます。そのスピード感は、「第1回期日において裁判官の心証・解決案の内容が決まる」、と言われるほどで、特に労働審判のご経験がない中小企業においては何も反論を用意できないまま、労働者側に主導権を握られその主張を甘受しなければならなくなるおそれがあります。
そこで、こちらでは、札幌市近郊で使用者側の労務問題に特化している弁護士が、一般的な労働審判の手続きの流れについて説明いたします。
労働審判の特徴とは?
労働審判の特徴として留意すべき点は、次の4つです。
期日は3回以内
訴訟になると、解決までに何回も期日が開かれ、気づいたら1年以上争っているという状況に陥ることもあります。ですが、労働審判においては主張・立証は第2回期日の終了までに終えなければならないという決まりがあり(労働審判規則27条)、7割以上の事件が3か月以内に終了します。また、実際は第2回期日までに終結してしまうことも多く、中には第1回期日で調停成立に至ることもあります。
労働関係の専門家が関与
労働審判の手続では、裁判官(労働審判官、1名)とともに労働審判員2名により労働審判委員会が構成されます。労働審判員は雇用関係の実情や労使慣行に関する知識と経験を有する人から任命され、2名の労働審判員のうち1名は労働者側、もう1名は使用者側とされますが、いずれも中立・公正な立場で手続に参加します。
当事者本人に対する審尋が行われる
裁判手続では、弁護士が代理人についている場合は、期日には代理人のみが出頭して当事者本人は欠席することも多いです。ですが、労働審判では第1回期日から当事者本人(会社側は代表者又は担当者が出席することになります)に対して直接質問が行われます。そのため、的確な回答が出来るよう事前準備が重要になります。
「調停」「審判」という柔軟な解決
労働審判の期日においては、適宜調停による解決が試みられます。令和元年の司法統計においても、労働審判手続の終了理由の第1位が「調停成立」で、その割合は全体の71.2%にのぼります。ここでの「調停」とは当事者間の和解を意味し、それゆえ話し合いの中では労働者側と使用者側の双方に何らかの譲歩を促されます。
これに対して、当事者が譲歩しないで調停による解決が出来ない場合は、労働審判委員会が当事者の権利関係と手続きの経過を踏まえて、事案の実情に即した判断を「審判」という形で示します。なお、「調停」および異議が出されず確定した「審判」には裁判手続における判決と同じ効力があるため、内容によっては差押え等の強制執行をすることが出来ます。
労働審判手続の流れと基本的対応
労働審判の申立てから終了までの一般的な流れは次のとおりです(事案によっては異なることもあります)。
労働審判の申立て
労働者側から裁判所へ労働審判手続の申立てがなされると、労働審判委員会が組織され、第1回期日の指定がなされます。原則として、第1回期日は申立から40日以内の日で指定されます。
会社が申立書を受領
期日が決まったら、手続の相手方である会社側に、申立書やその添付資料、証拠書類とともに、第1回期日への出廷を求める呼出状が郵送されます。
答弁書の作成、提出
第1回期日の1週間前までに、提出された申立書や証拠を確認し、会社側は主張を答弁書にまとめ、証拠の準備をします。期日は多くても3回しか開かれないため、主張と反論が何度も繰り返されることは想定されておらず、会社側は第1回期日までに必要な書面と証拠を全て提出しなければなりません。
第1回期日
裁判所での第1回期日においては、申立書や答弁書、双方の証拠をもとに事実や争点の確認や、当事者双方に対する事情聴取(審尋)が行われます。労働審判委員会が提示した調停案につき双方の意見調整が図られ、合意が得られれば第1回期日において調停が成立することもあります。
第2~3回期日
すでに第1回期日で提示された調停案、あるいは第1回期日での審尋の結果に基づいた調停案に基づき、改めて双方の意見の調整等が行われます。互いの合意が得られれば調停が成立しますが、第3回期日でも合意に至らなければ審理が終結され、労働審判委員会からの審判が下されます。
異議申立て
審判の内容に不服がある場合には、審判が告知されてから2週間以内に裁判所へ異議を申し立てます。異議が申し立てられると審判は効力を失い、通常訴訟へと移行します。この異議申立ては、労働者、使用者のいずれからも行うことが出来ます。
労働審判対応には顧問弁護士をご活用ください
労働審判対応を弁護士に依頼すべき理由
ここまで見てきたように、労働審判においては期日の回数に限りがあるため第1回期日で形成された心証を後から覆すことは困難です。そのため、労働審判を申し立てられた会社側は第1回期日までに十分な主張・反論が出来るよう、すぐに準備に取り掛からなければなりません。
例えば、解雇の効力について争われるケースでは、就業規則や雇用契約書といった書類を揃えるだけでなく、解雇事由に該当する事実があったことや解雇に踏み切るまでの会社の対応につき、適切な証拠を収集したうえで書面の形でまとめることが必要です。また、過去の残業代を請求されたケースなら、タイムカード等の出退勤の記録を探し出して会社側でも改めて計算し直し、その結果をもとに主張を考えていかなければなりません。さらに、期日では出席した会社の代表者ないし担当者が直接質問を受けることになるため、想定問答を行う必要もあるでしょう。
こうした作業量の多さ・手続の迅速性から、特に中小企業においては、労働審判が申し立てられることで通常の業務に支障が生じるおそれもあります。そのため、法律の専門家である弁護士に依頼されることを強くお勧めいたします。
弁護士法人リブラ共同法律事務所の顧問契約
労使間の紛争を出来るだけ会社側に有利な内容で解決するには、労働審判が申し立てられてから弁護士に依頼するのではなく、日ごろから各々の会社の事情を良く把握している弁護士とともに入念に対策することが不可欠です。
弁護士法人リブラ共同法律事務所では、労務問題に特化した顧問契約をご用意しております。労働審判の対応についても、答弁書等の会社側提出書類の作成や、期日までの証拠の準備につき会社を代理して行うほか、期日へ同席し労働者側との交渉にあたることも可能です。また、労働審判を申し立てられないように、就業規則の整備や労働環境の調整などについても予防法務の観点から継続的にサポートをさせていただきます。
弁護士法人リブラ共同法律事務所の労務問題に強い弁護士によるサポート費用
- 相談料金:初回1時間11,000円(税込)、以降30分ごと5,500円(税込)
- 労務顧問プラン:弁護士費用についてこちらをご覧ください。
労働審判への対応にお悩みのある札幌市近郊の企業様は、経営者側の労働問題の予防・解決に注力する弁護士法人リブラ共同法律事務所へぜひご相談ください。
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