職務怠慢な社員を辞めさせたい|問題社員を辞めさせる方法とは

職務怠慢な社員・問題社員を辞めさせたい

☑「仕事中にスマホをいじってネットサーフィンをしている」

☑「手が空いているのに自分の仕事を同僚に押し付ける」

☑「外回りに出ているはずが、パチンコ店にいたのを他の社員に目撃されている」

といった職務怠慢な社員の話を耳にすることがあります。

企業としては、こうしたいわゆる「問題社員」には辞めてもらいたい、とお考えになることもあるかと思います。

そこで、こちらでは、このような職務怠慢な問題社員を辞めさせるための対応につき、札幌市近郊で使用者側の労務問題に注力する弁護士が説明いたします。

1 職務怠慢な社員を解雇できるか

(1)解雇権濫用法理

まず、職務怠慢な問題社員を辞めさせるといっても、直ちに解雇することは困難と言わざるを得ません。

というのも、民法上、解雇は自由にできるように規定されていますが(民法第627条第1項)、解雇は労働者にとっては生活を脅かされかねない深刻な影響を与える行為であることから、労働関連の法律による規制が入り、労働者の保護が図られているからです。

その代表的なものが、いわゆる「解雇権濫用法理」といわれるもので、社員の解雇が、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」は、解雇はその権利を濫用したものとして無効とされてしまいます(労働契約法第16条)。職務怠慢を理由に社員を解雇するには高いハードルがあり、解雇しても無効と判断されるおそれもあるのです。

(2)解雇が認められる客観的合理性および相当性

解雇の客観的合理性を確保するには、社員の職務怠慢の事実や程度を会社が立証できる資料を用意しておくことが重要です。例えば、無断欠勤や遅刻が多い社員の場合、出勤簿やタイムカード等の記録をとっておくことが考えられますし、職場離脱や勤務不良が見られる社員には、営業日誌をつけるようにしておくことやPCの閲覧履歴、SNSのログイン履歴を押さえておくことも有効です。また、職務怠慢行為に対する注意・指導を書面やメールにより行っておくことで、客観的証拠として残すことが出来ます。

また、解雇の相当性は、こうした職務怠慢の内容や程度と処分内容の重さとを比較衡量して判断されます。上述の通り、解雇は労働者に深刻な影響をもたらすものですから、やむなく最後の手段としてなされたと評価されることが重要です。そのため、再三の注意・指導を行ったり、戒告や減給など軽い懲戒処分を科したりしてもなお改善が見られないような場合には解雇が相当であると判断されやすくなります。

普通解雇でなく懲戒解雇とする場合は、会社によっては退職金の全部または一部が不支給となるなど、労働者側への不利益がさらに大きいため、相当性はより厳格に判断されます。労働者の行為に企業秩序を乱すような悪質性が認められなければならず、普通解雇で足りるようなケースで懲戒解雇をしても、懲戒解雇としては無効と考えられます。また、法律上、懲戒解雇にあたっては、就業規則に懲戒解雇事由が具体的に列挙・周知されていること、かつ、当該社員の行為がどの解雇事由に該当したかを明示することが要求されます。さらに、就業規則で懲戒委員会の討議等の所定の手続を経ることが要求されている場合には、当該手続が順守されなければなりませんし、そのような手続が定められていない場合も、本人からの弁明の機会が与えられていなければなりません。

もっとも、ここで述べた判断要素や基準は確たるものではありません。紛争になれば裁判例や同業他社における先例なども照らして判断されることになりますので、解雇の有効性を主張するには関連法律の知識や労働問題を取り扱った経験が必須です。

2 解雇によらない解決

(1)合意の上で辞めてもらうことを目指して―退職勧奨

解雇は当該社員の意思に関係なく使用者(会社)の一方的意思表示により行える行為であるため、解雇後に労働審判や訴訟で解雇の有効性を争われるおそれがあります。裁判実務上、上述した解雇の客観的合理性や相当性については会社側が立証しなければならず、紛争になると非常にコストがかかります。

解雇による上記のリスクを避けるために、労働者自らの意思表示により退職をしてもらう方法、すなわち退職勧奨による円満退職を目指しましょう。ただし、あくまで退職の勧奨であり、後で強制されたと言われないように進めなければなりません。例えば、退職に応じない場合の不利益を強調しないで、面談の回数が多くなったり、1回あたりの時間が長くなったりしないように注意しましょう。また、可能な限りで、退職時期などについて当該社員の同意を得やすい条件を提示することも考えられます。そして、後の紛争を防ぐために、退職について合意できた時には必ず書面で退職届を提出してもらうようにしましょう。

(2)その他の方法

そもそも、職務怠慢な社員が意欲を取り戻し、パフォーマンスを向上させてくれれば、会社と社員の双方に追って最良の結果であることは言うまでもありません。労働者側としても、会社に解雇されようとしている、退職させられようとしていると感じれば、態度を硬化させることが多いものです。

そこで、職務怠慢な社員に対しては、会社を去ってもらうのではなく、再度育成するという考え方もあります。まずは当該社員に問題点を率直に伝えたうえで、より軽微な懲戒処分を選択して改善を促す、配置転換等の人事権を行使し別の職種での適性を判断する、など取るべき方法は事案によって様々です。

3 問題社員を辞めさせたい・問題社員対応には顧問弁護士を

職務怠慢な問題社員を辞めさせるまでには、注意・指導、配置転換・降格、懲戒処分、退職勧奨、解雇といった段階的なプロセスを踏んでいかなければならず、その中では多くの判断に迫られます。ですが、もし対応を間違えて紛争化すれば企業にとって大きなコストが生じますし、周囲の社員のモチベーション低下にもつながりかねません。

そこで、労務問題を熟知した顧問弁護士をご活用ください。

弁護士法人リブラ共同法律事務所では、労務問題に特化した顧問契約をご用意しております。職務怠慢な社員への対応についても、指導助言、面談への同席といったお手伝いが可能です。

職務怠慢な問題社員を辞めさせたいが社内で対応するためのリソースを割くことが難しい、会社の対応に法的な問題があるのか分からない、といったお悩みがある札幌市近郊の企業様は、使用者側の労務問題に注力している弁護士法人リブラ共同法律事務所へぜひご相談ください。

 

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