☑「未払残業代の支払いを求めて、労働組合からの団体交渉の申入書が届いた」

☑「団体交渉にて残業代の未払について話し合っているが、全く進展しない」

こういったお悩みをお持ちの企業・法人様はいらっしゃいませんか?

労使間の紛争の中でも、賃金に関する問題は特に多い争点の一つです。中でも未払残業代を巡っては、労働者の権利意識の高まりや、それを受けたユニオン(合同労組)の増加から団体交渉が活発化している傾向にあります。

そこで、こちらでは、札幌市近郊で使用者側の労務問題に特化している弁護士が、未払残業代につき団体交渉の申入れがあった場合、企業はどのように対応したらよいか説明いたします。

タイムカード・就業規則は提供すべき

未払残業代を巡る団体交渉において留意すべき問題として、労働組合から未払残業代の計算や事実関係の確認を目的として、タイムカードや就業規則の提出を求められた際にどう対応すればよいかという点があります。

この点、使用者は団体交渉にあたり、労働組合の要求や主張に対する回答や自己の主張の根拠を具体的に説明し、必要な資料を提示する等して誠実に交渉を行う義務(誠実交渉義務)を負っていると解されています。したがって、当該従業員についてタイムカードを使用して勤怠管理がなされていることが明らかであれば、就業規則と合わせてそのタイムカードを提出しなければなりませんし、仮にこれらの提出を拒否するのならばその合理的理由を示す必要があります。

これに対し、経営者の方からは、「対立している相手に資料を渡してしまってよいのか」、「会社側の資料を渡してしまうとこちらに不利な証拠とされてしまうのではないか」とご心配の声をいただきがちですが、だからといって、タイムカードを廃棄してしまうのはもってのほかです。誠実に交渉に臨んだと評価されるためには企業側でも事前の未払残業代の計算や事実関係の確認作業は行うべきですし、組合側に必要な資料が開示されていないと交渉が紛糾し団体交渉で決着をつけることが困難になります。労働審判や訴訟に移行しても裁判所からタイムカード等の資料の開示は求められることになりますし、開示が出来ないと裁判官の心証を大きく損ねることになるでしょう。

さらに、タイムカードが提出されない場合の処理について、「労基法が、時間外・深夜・休日労働について厳格な規制を行い、使用者に労働時間を管理する義務を負わせているものと解されることからすれば、…合理的な理由がないにもかかわらず、使用者が、本来、容易に提出できるはずの労働時間管理に関する資料を提出しない場合には、公平の関連に照らし、合理的な推計方法により労働時間を算定することが許される場合もある」と示した裁判例があります(スタジオツインク事件、東京地裁平成23年10月25日判決)。タイムカードや就業規則は、「労働時間管理に関する資料」の最たるものですから、これらの提出が容易であることが想定されるにもかかわらず提出しない場合には、裁判においては、労働者側の主張どおりに時間外労働時間が計算されてしまう危険があるのです。

もっとも、団体交渉においては、労働組合は団交事項に応じてさまざまな資料の提出を求めてきます。残業代請求に関わるものでなくとも企業に誠実な対応をする義務があることには変わりありませんが、当然、重要な機密事項を含む資料の開示にまで応じる必要はありません。もし、組合側から求められている資料を開示すべきかどうか、開示しない場合に合理的理由があるかどうか、といった判断に迷いがあれば、労務問題に詳しい弁護士等の専門家にご相談されることをお勧めいたします。

団体交渉で解決を図る場合の注意点

 (1)交渉前にしておくべきこと

未払残業代を巡っては、団体交渉で解決しなければ、従業員から労働審判や訴訟を起こされ、紛争が長期化してしまうことがあります。こうした事態を避け、団体交渉を通じて問題解決を図るなら、交渉に入る前に目標とする落としどころを決めておくことが重要です。

実際に未払残業代が発生している可能性がある場合、もし裁判を経て判決が出たら、遅延損害金や残業代と同額の付加金の支払を命じられることもあります。こうした支払いも含めて、法的手続にかかるコストを計算し、団体交渉で解決するために譲歩できるボーダーラインを事前に決めておくようにしましょう。こうした事前の検討作業は、組合側の要求が法的に認められる見込みが低く不当な請求であることが明らかなケースにおいても、安易に譲歩してしまうことを防ぐという効果を発揮します。

(2)交渉が行き詰まっているときは

労働組合が過大な残業代の請求を繰り返す場合や、議論を尽くし互いに一定の譲歩をしたにもかかわらず妥結に至らない場合など、交渉が平行線のまま行き詰まるケースもあります。このとき、企業側から交渉を打ち切ることについては慎重に検討すべきです。

確かに、正当な理由があってなされた交渉打ち切りは誠実交渉義務に反するものではありません。しかし、「必要な議論が尽くされた」かどうか、「いずれかの譲歩によっても交渉が進展する見込みがない」かどうか、といった判断はいずれの立場から見るかによって評価が分かれやすいところです。そのため、企業側からの交渉打ち切りは、組合から誠実交渉義務に反すると指摘されやすく、さらなるトラブルを生みかねません。

そこで、やむを得ず交渉を打ち切らざるを得ない場合は、打ち切りの理由を明記した書面を示し、正当な打ち切りである旨を組合側に伝えるようにしましょう。

ここで述べた交渉前の検討作業や、交渉が行き詰まったときの対応は、労働関連法規や裁判例、および最新の団体交渉の傾向を把握していないと困難なものばかりです。そのため、労働問題に注力している弁護士のサポートを受けたうえで方針を決めていくことが望ましいといえるでしょう。

団体交渉・労働組合対策には顧問弁護士をご活用ください

労働組合は日常的に労働問題に取り組んでおり、団体交渉のノウハウを有しています。そのため、企業側が各種労働法規への理解が不十分で、何も対抗策を用意しないで交渉に臨んでしまうと、組合側に主導権を握られたままその主張を甘受しなければならなくなるおそれがあります。また、未払残業代にまつわる団体交渉は特にその性質上、はじめはユニオン等の社外の労働組合に加入したごく少数の従業員からの申入れであったとしても、非組合員の従業員にまで波及しやすい問題であり、対応を誤ると想定以上に高額の残業代を支払わなければならなくなるリスクもあります。そこで、団体交渉において企業を守るためには、労働問題に強い弁護士等の専門家の支援を受けることを強くお勧めいたします。

 弁護士法人リブラ共同法律事務所では、労務問題に特化した顧問契約をご用意しております。労働組合への対応についても、労働協約に関する書類の作成、労働者側との条件調整などを専門的な知見に基づき行ってまいります。また、団体交渉の申出があった際の対応はもちろんのこと、労働組合から団体交渉をされないために、事前に就業規則の整備や労働環境の調整などについてもアドバイスをさせていただきます。

未払残業代を巡り、団体交渉への対応にお悩みのある札幌市近郊の企業様は、経営者側の労働問題の予防・解決に注力する弁護士法人リブラ共同法律事務所へぜひご相談ください。

 

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