就業規則の変更方法を解説!変更の流れと知っておきたい注意点
はじめに
就業規則は、社内の経営状況や法改正に応じて変更が必要であることはご存じかと思いますが、その変更の手続きが正しい手順で行わなければ、変更内容が無効になりそれに伴う訴訟などのトラブルにも繋がりかねないこともご存じでしょうか。
今回は、就業規則を変更する方法と注意点を解説させていただきます。
実際に変更される際の参考にしていただけますと幸いです。
就業規則を変更するための方法
就業規則の変更は、主に以下の4つのステップに沿って行います。
1.変更案を作成して経営陣の承認を得る
2.従業員の意見書を作成する
3.労働基準監督署に必要書類を届出する
4.変更内容を従業員に周知する
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.変更案を作成して経営陣の承認を得る
就業規則の変更にあたって、まずは変更箇所と内容について担当部署が草案をまとめます。
正社員、パートタイマー、アルバイトなど雇用形態の異なる従業員がいる場合は、変更の適用範囲もあわせて定めなければなりません。
変更案の作成が完了したら、各種労働法規の違反がないことを法務担当者が確認します。そして、問題がなければ取締役会で承認(取締役会非設置会社では取締役の過半数の同意)を受けて経営陣の合意を得るという流れです。
2.従業員の意見書を作成する
就業規則の変更を労働基準監督署に届け出るには、従業員側の意見をまとめた「意見書」も併せて添付する必要があります。
労働者の過半数を代表する者の意見を聴取し、書面にまとめましょう。労働者の過半数が組織する労働組合がある場合、その労働組合に作成してもらいます。
必ずしも同意を得る必要はなく、労働者の過半数に意見を募ったという事実を残すことが重要です。
3.労働基準監督署に必要書類の届け出を行う
従業員からの意見聴取が終わったら、所轄の労働基準監督署に届出を行います。
届出をする際に必要な書類は、以下の3点です。
・就業規則変更届
・意見書
・変更後の就業規則
それぞれ2部ずつ用意しておくと、1部は受領印が押印されて社内の控えとして返却されます。
4.変更内容を従業員に周知する
就業規則を変更した場合は、変更内容を従業員に周知することが義務付けられています。なお、周知は労働基準監督署への届出前に行っても構いません。
社内への周知を図る際は、変更内容が一目でわかるように表示方法を工夫しましょう。
事業所内の掲示板や書類配布、Web上での共有などさまざまな周知方法があります。通達方法や掲示場所がはっきりわかるように従業員に知らせることが重要です。
就業規則を変更する際の注意点
就業規則を変更する際に、知っておくべき主な注意点は下記になります。
a.不利益変更の場合は労使間の合意が必要
b.経過措置や代償措置を設ける
トラブルを避けられるように、ぜひ参考にしてください。
a.不利益変更の場合は労使間の合意が必要
労働者にとって不利益がある就業規則の変更を会社側が一方的に行うことは、労働契約法第9条や第10条によって禁止されています。
不利益変更に当てはまるのは次のような内容です。
・賃金水準の引き下げ
・固定残業制の導入
・休暇の削減
不利益変更をする場合は、不利益の程度や変更の必要性などさまざまな事情を考慮した上で、合理性が認められる必要があります。合理性が無ければ就業規則の変更は無効となるため注意が必要です。
従業員側の同意が得られないと裁判になるケースもあることを理解しておきましょう。
b.経過措置や代償措置を設ける
就業規則の不利益変更を行う場合は、経過措置や代償措置を設けることが重要です。
いきなり新しい就業規則を適用すると、従業員の働き方や生活に急激な影響を与えてしまうからです。
・経過措置で段階的に変更後の規則に移行する
・代償措置で少しでも不利益を受ける度合いを少なくする
このように複数の選択肢を用意することで、従業員の心理的な負担を減らし、トラブルを回避するような工夫を施すことも重要です。
就業規則の変更は専門家にご相談を
就業規則は、一度定めたものをずっと使い続けることは少なく、一般的には社会の動きに合わせて変更していきます。変更する際は、従業員からの反発を招くことが無いように、丁寧に手順を踏み、スムーズに手続きを進めることが重要です。
あらかじめ弁護士に相談することでトラブルを未然に防ぎながら、変更手続きを進めることを推奨しておりますので、お困りの際にはご相談していただけますと幸いです。
顧問契約プラン・弁護士費用
顧問弁護士の活用事例・解決事例
500万円の残業代請求訴訟を300万円の支払いで和解した事例
300万円を超える残業代請求に対して80万円の支払いで和解した事例
弁護士紹介
お問い合わせ
会社の法律問題や顧問契約に関するご相談は、下記から気軽にお問い合わせください。
関連ページ
弁護士コラム|残業代を請求した従業員は本当に仕事をしていたのか?