パワハラが発生した場合の会社の対応と発生防止策とは

職場内で発生するパワハラは水面下で起きることもあり、企業側もパワハラの発生防止やパワハラ相談時の対応で悩まれることも多いのではないのでしょうか?パワハラの相談を受けた際は、会社は被害者の心理に配慮しながら適切かつ迅速な対応をすることが重要です。また、加害者への処分だけでなく、会社全体で再発防止に努めなければなりません。

そこで今回は、パワハラが発生した場合に会社がとるべき対応と再発予防策について解説します。

 

パワハラ相談を受けた場合に会社がとるべき対応

事実確認

従業員からパワハラの相談を受けた場合、まず行うべきことは事実の確認です。事実確認は、相談者だけでなく、加害者や関係者などから広くヒアリングすることが重要です。被害者の意見を真摯に聞くことは大切ですが、被害者の主張内容と事実が異なる可能性もあるため、中立の立場で事実確認を行うようにします。
また、パワハラを示すメールや録音などの証拠の有無も確認しましょう。秘密保持を徹底するなど被害者への配慮をしながらも、適切な調査が行える体制が会社側には必要です。

 

パワハラの有無を判断

調査で得られた内容をもとに、パワハラの有無を総合的に判断します。事実認定においては、客観的な立場から不自然な点はないかどうかを慎重に見極めましょう。自社内での判断に悩む場合は、弁護士などの第三者に意見を聞くことも有効な手段です。
事実認定がまとまれば、調査報告書を作成します。調査報告書は訴訟になった場合の証拠になるため、客観性と信用性が担保された内容であることが非常に重要です。

 

加害者への処分を決定

パワハラがあったと判断される場合は、加害者への処分を検討しなければなりません。処分の決定にあたっては、被害者が受けた被害の大きさや会社の就業規則、過去のパワハラ裁判例などを考慮して検討しましょう。
処分として検討される対応の例としては次のようなものになります。

  • 戒告
  • 減給
  • 降格
  • 出勤停止
  • 異動

処分内容を決定するうえで重要なポイントは、「事案内容と処分内容の程度が客観的に合理的であり、社会通念上相当であるか」です。パワハラの内容と釣り合わない重い処分についてはこの合理性や相当性を欠くものとして、労働契約法第15条に則り無効となる可能性があるため、十分な検討を重ねる必要があります。

 

パワハラの再発を防止するために必要な対策

社内規定の整備と周知

パワハラに関する社内規程を作成し、パワハラに対する会社の対処方針を明確にする必要があります。具体例として、パワハラをした加害者には上記のような懲戒処分を下す旨を明示することが挙げられます。そして、作成した社内規定は従業員に確実に周知することで、パワハラ防止の啓発を促し、再発防止を図ることが可能となります。

 

相談窓口の設置

ハラスメント等を対象とする相談窓口を設置することで、パワハラの早期発見や被害拡大防止を見込むことができます。そして、ただ窓口を設置するのではなく従業員にとって相談しやすい環境を整えておく必要があります。社内に窓口を設けるケースもありますが、被害者が情報漏洩や人事評価に影響することを懸念し、相談をためらう要因になりかねません。したがって、相談窓口は弁護士等の社外窓口につながるように設置することが効果的です。

 

定期的なアンケートと社内研修

パワハラの対策には、日々の啓発が非常に重要です。社内でパワハラが発生していないか、パワハラに発展しそうな状況はないかを調べる匿名社内アンケートを、定期的に行いましょう。また、一般従業員・管理職それぞれを対象にパワハラに関する研修を行うことで、より有効にパワハラの発生を予防することができます。パワハラの定義や会社の対処方針、相談を受け付ける体制などについて明確に伝えることで、職場内の意識向上を図りましょう。

 

まとめ

パワハラの相談を受けた場合は、まずは事実確認を中立な立場で行い、パワハラの存在が認められる場合は加害者への処分を決定します。そして、社内規程の作成や相談窓口の設置などでパワハラへの体制を整備し、会社の姿勢を明確に示すことで再発防止に努めましょう。
パワハラへの対応は、客観的な判断のもと、迅速に進める必要があるため、弁護士などの専門家に第三者の立場からアドバイスを受けることをおすすめします。弁護士法人リブラ共同法律事務所では、企業人事に関する経験と実績が豊富な弁護士が、ベストな解決に向けた助言・サポートを行います。パワハラ対応に悩んだ際は、ぜひご相談ください。

 

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